日本人にとってフィンランドはサンタクロースやノルディックスキー、サウナなどを連想させる北欧の一国だが直行便のフライトでヘルシンキまで約9時間半の旅
昨今では日本からもっとも近いヨーロッパといわれるようになった
なかでもバルト海に浮かぶ6700の群島、夏のオーランド諸島は
蒸し暑さとは無縁の爽やかな海のリゾートだ
夜になっても沈まない太陽 おだやかな海と緑深い小島がこころを癒してくれる
フィンランドとスウェーデンが共存する北欧リゾート
オーランド諸島は不思議なリゾートだ。フィンランドでありながら歴史的な経緯から独立した自治領として独自の議会や権利をもっている。公用語はスウェーデン語で住民には独自のパスポートが発行されている。
日本との縁も深い。オーランドは第一次世界大戦末期、フィンランドがロシア帝国から独立した際、多くの島民がかつてのスウェーデン王国への帰属を希望したことから国際問題化。そこで1921年に当時の国際連盟が仲裁に入って紛争を解決した。そのときの事務次官が新渡戸稲造だ。そんなことから「イナゾウ・ニトベ」はオーランド人たちにとってだれもが知っている日本人なのだ。
住民の4割が住むという町の中心マリエハム(Mariehamn)は中世からの貿易中継地として栄えた美しい港町。現在もストックホルムやヘルシンキへ向かう大型フェリーが一日に何便も入港して多くの観光客が訪れる。
岩礁からなる6700の群島のほとんどは無人島で、静かな波間を無数のヨットやボードが往来する。島のいたるところにマリーナや桟橋があり世界中から船乗りが訪れる。
プライベートアイランドリゾートが充実しており、島を訪れる客はボートでコテージに上陸しサウナに入って夏の白夜をのんびり楽しむ。これぞオーランドスタイルのバカンスだ。
アイランドコテージに泊まる
90%以上が無人島。宿泊するなら島のコテージがいい。
レストランで食事をするのもいいし、キッチンで自炊をするのもよし。
ほとんどの宿泊施設にはサウナが完備されエキゾチックな北欧スタイルを楽しむことができる。
6700からなる日本にゆかり深い独立自治領の群島
オーランドの中心地マリエハムはバルト海航路の拠点として栄えた船乗りの町だ。
南北に伸びる人口約1万人の小さな町には東西に大きな港が2つある。大型フェリーが発着する西の港には20世紀の初頭に活躍した大型帆船ポンメルン号が博物館船として繋がれ、町の観光名所となっている。
反対側の東の港にある「The Maritime Quarter」には伝統的スタイルの木造ボートの修理や建造中の手作りヨットが見られるハーバーがあり、北欧の海洋文化の奥深さを感じることができる。
帆船ポンメルン&海事博物館
ポンメルン号の脇には日本では見ることのできない帆船から蒸気船の歴史や船乗りたちの生活ぶりがわかる貴重な資料が展示されている海事博物館「Aland Maritime Museum」がある。
オーランド町めぐり
オーランド巡りの拠点であるマリエハムには、歴史的建築物だけでなくシャレた木造家屋やオープンテラスのカフェが点在する。時間があるならサイクリングで町探訪が楽しい。市内には専用のサイクリングロードが完備され、各所にレンタルサイクルショップもある。港をスタートして繁華街、住宅街を駆け抜けてたどり着いた小高い丘からの港の見晴らしは感動的だ。
また郊外に足を伸ばせば歴代のスウェーデン王たちが暮らした中世建築の「カステルホルム城」やクリミヤ戦争時代の「ボマルサンド遺跡」巡りも興味深い。
マリエハムの町散歩をするなら、帆船ポンメルン号のある西港からノスタルジックな木造船が浮かぶ東港ハーバーまで、リンデン(西洋シナノキ)の街路樹沿いに歩くのがおすすめ
フィンランド・オーランド情報
http://www.visitaland.com/
http://www.visitfinland.com/ja/
http://www.finnair.com/JP/JP/japan
旅メモ
フィンランドのネット環境は日本より格段によい。フリーWi-Fiが普及し町のいたるところで利用できる。プリペイドSIMカードが3日分で4.9ユーロ(約680円)。一日分はミネラルウォーター(約2ユーロ)より安い。