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星型の天国のような島~パラオ・カープアイランド~

日本から直行便で4時間半、真っ青な空と透明度バツグンの海が待つパラオ。多くの島でできています。ダイバーが一度は訪れたいブルーコーナーや、お花畑のようなサンゴ礁も。画像が少し古いですが、パラオを世界的な観光地にした岸川格(いたる)氏所有のカープアイランドリゾートを紹介します。北には、第2次大戦で日本軍が玉砕したペリリュー島があります。(画像提供:Yoshie Matsushima)

ブロッコリーのような緑の島が点々と海に浮かんでいます

パラオへ行くには、直行便とグアム経由便が。グアム経由は、小さな飛行機で。30年ほど前の、のどかな時代にはフレンドリーにコックピットに入れてくれました。空港のあるコロール島からボートで45分。“海に浮かぶブロッコリー”そっくりの島々を抜けて、目指すカープアイランドに到着です。

明るい笑顔がリゾートエアラインにぴったり!

星型の無人島だったカープアイランドは、戦前の日本統治下で生まれた岸川さんの所有。1979年に手作りのコテージを立てたのが、アイランドリゾートの始まりです。島の命名は、奥様が広島カープのファンだったから。最後の決定はジャンケンだったとか。ほほえましいエピソードがぴったりの自然豊かなリゾートです。

桟橋も、岸川さん始めスタッフも参加しての手作り。

“伝説のダイバー”と呼ばれる岸川さん。海洋探検家のクストーと一緒に外洋で潜り、豊富な魚の種類や、V字に切り立った海底の棚をみて新しいダイビングスポットを次々に開発しました。当時無名だったパラオを観光大国にした立役者です。そのせいか、岸川さんは“PAPASAN”と呼ばれているそうですよ。

島の周りの海はとても穏やか。海面が鏡のようにさざ波一つない時も。小さな子供連れのご家族は、BBQと海遊びで過ごすのにもってこいですね。

日中は涼しい木陰で。島のペット犬と遊んでも

カープアイランドからボートでわずか10分。ダイビングに向かいます。
ブルーコーナーでは、噂にたがわず大型のバラクーダが巨大な塊になって向かってきます。あまりの怖さに通り過ぎてからやっとカメラのシャッターを押す始末。「大きなサンマ」の群れに見えますが、面構えの怖さがすごい。口の中は、鋭い歯がぎっしり並んでいます。

ブルーコーナーで遭遇したバラクーダの群れ。何百匹いるのでしょうか⁈

アップも迫力です!

心臓に負担がかかったので、静かに地形を楽しむブルーホールへ。透明度が高い海中のたて穴は、静寂の青い世界。ここにも数え切れないほどの種類の魚が。

ブルーホールの青い世界。頭の芯まで静かになる心持ちです

ウォールダイビングといって、切り立った海底の壁に沿ってのダイビングでは、文字通り笛吹鯛の壁に遭遇。ふと振り返ったら、200メートルほどのドロップオフ(切り立った壁が海底に続くところ)へ、ナポレオンフィッシュが20匹ほど一列に連なって潜っていくところを観察。あまりのスケールの大きさに、かえってのどかな心持に。

魚の群れ、というよりむしろ“壁”。魚影の濃さはピカイチです

注意点は、複雑で強くなることもある海流です。1メートル離れただけで魚が反対の方向を向いて群れて泳いでいる(=自分のいるところと逆に海流が流れています)こともあります。ガイドの指示をしっかり守って潜りたいものですね。

サンゴや海藻もヒトより大きく成長中……

天国のようなカープアイランドの北側には、第2次大戦の激戦地、ペリリュー島があります。2015年天皇陛下が慰霊の訪問をされた玉砕の地です。
戦前のパラオは、日本の統治下にありました。第一次大戦後日本の統治が始まった時、パラオの人々はスペインから始まる植民地時代に搾取されてきたので、「また新しいのが来た」と静観していました。ところが、日本政府が学校、病院、橋などのインフラ整備を始め、差別のない扱いに務めたことが功を奏し、親日的な態度へ変化します。

のんびりした、懐かしさのあるパラオの街並み

ペリリュー島の戦死者にパラオ人はいませんでした。
というのも、玉砕を覚悟した当時の将校が、共に戦いますというパラオ人の申し出を断ったからです。「大日本帝国軍の兵士が、土人と一緒に戦えるか!」と地団太を踏んで拒絶したと言われています。この失礼極まる発言に、同胞と思っていたパラオの人々はショックを受け、他の島へ撤退するボートに乗りました。島からボートが離れたところで、パラパラと浜に日本軍人が出てきました。笑顔で手を振っています。「達者で暮らせ―」「長生きしろよー」と別れのあいさつをしてくれました。騙された……という想いと、命を救われた感謝で涙を流したと伝えられています。(なぜ日本はアジアの国々で愛されるのか/池間哲郎著)

さざ波一つ立たないこともある穏やかな海に、夕焼けが鏡のように写っています

海が穏やかな日は、海面が鏡のように見えるカープアイランドからの夕日。
転機の良い日は、桟橋のある浜からくっきり見える天の川に夕焼けの残像が残り、きらりと光る一番星。はい、まるで絵に描いたような絶景です。自分の目に見える景色が信じられなくて、友達に確認したほど。言葉もなく見入ってしまいました。
ぜひ一度、天国のような島へ行ってみませんか。

【参照】
パラオ初心者向けツアー攻略まとめ
http://parao.sakuraweb.com/article/125030007.html

なぜ日本はアジアの国々で愛されるのか
池間哲郎著 扶桑社文庫2015/3/26


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