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アルゼンチン・イグアスの滝:史上最強のパワースポット

イグアスの滝1

「アルゼンチン音楽の旅」に絶対加えたかったのが、「大自然の旅」。
アルゼンチンは南米ではブラジルに次ぐ国土面積をもち、北は亜熱帯、西はアンデス山脈、東はパンパ、南はパタゴニアの荒涼とした大地。つまり、大自然の宝庫だ。
どれも魅力的だが、一番行きたかったのが北に位置するイグアスの滝だった。イグアスの滝はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイにまたがる世界最大級の滝でユネスコ世界遺産にも登録されている。アルゼンチン側から観るのが一番迫力があるそうだ。

首都ブエノスアイレスから飛行機で約2時間。アルゼンチンの航空会社サイトからチケットを入手しようとしたが、なぜかうまくいかず…結局、現地の旅行代理店に手配をお願いした(あとになって、代理店を使ってよかったと痛感するはめになる)。

フライト2時間程度なので日帰りすることにした。ブエノスアイレスを朝出発して、夜便で帰るプラン。本当は1泊したいところだったが、日本の悲しい労働事情でのんびり旅行もしていられない。

最初からかなり強硬スケジュールだったのだが、さらに出発便が遅延したうえに帰りの便が変更になって早い時間になってしまった。結局、イグアスに滞在できるのはたった3時間程度。不幸中の幸いだったのは、ガイド付きの個人ツアーにしたことだった。

イグアス空港に到着すると、アルゼンチン人の女性ツアーガイドとドライバーが待っていてくれた。ガイドが早速「時間がないからとにかく急ぎましょう!!」とせかしたので、慌てて車に飛び乗って、入園ゲートへ。

ゲートをくぐり、まずはトロッコ電車で移動。停車駅もいくつかあり、乗降客もかなりいる。途中で川がみえたり、鳥のさえずりを聞いたり、ヒトがこぼす食べ物を狙ってハナグマがうろちょろしていたりする。

20分程度トロッコ電車に乗り、名所「悪魔ののど笛」の最寄駅で降りた。
さらにそこから歩く。気温も高いが、湿度は100%なんじゃないかと思うほど高い。まさにジャングルを探検しているかのようだ。
そして歩くといっても、陸を歩くのではなく、川に架かった橋をひたすら歩く。なにせ川幅は1キロあるという。もはや川なのか湖なのか、なんなのかよくわからない。とにかく水辺に架かった橋を歩く。

途中には鳥を観察できるスポットがあり、日本にはいない、いかにも南国の鳥が水辺で羽を広げていたり、木の上でさえずったりしている。

どれくらい歩いただろう。暑さと鳥の鳴き声と水量に圧倒されてよく覚えていないのだが、川幅が1キロもあるのだから少なくとも15分は歩いたのだろう。
いよいよイグアスの滝の一番のハイライト、悪魔ののど笛に近づいたようだ。

滝つぼの轟音が徐々に聴こえてくる。

これがアルゼンチン側からみたイグアスの滝(プエルト・イグアス)、悪魔ののど笛だ。
悪魔ののど笛と言われる理由にすぐに合点がいくほどの水量と轟音。あまりにも水量がありすぎて水しぶきがさらに上空に舞い上がっている。
そして滝をまたがるように架かる巨大な虹が美しい。

滝の中に突っ込んでいく勇ましい鳥が飛んでいる。ガイドによると「swift」(アマツバメ)という鳥らしい。ガイドが着ているジャケットの背中にもswiftが描かれていた。イグアスの滝を象徴する鳥なのだそうだ。滝の岩壁に巣を作り、巣に入るために滝に突っ込んでいるそうだ。滝の流れに合わせて急降下し、まるで滝に吸い込まれるように消えていくアマツバメを観ると、人間ができることって限られているんだと思ってしまう。

ガイドにしばらくここで一人で眺めていていいよと言われた。ようやくじっくり遠慮なく滝を眺められる。眺めるというより、感じる。とてつもないパワーを。不覚にも、あまりのパワーに圧倒されて涙が溢れ出てきてしまった。誰にも創ることができない、自然の美しさと神秘。史上最強のパワースポットに来てしまったんだ、私。もう死んでもいい!と思ってしまった。

と、感動に浸っていると、そうだ、時間がない!ガイドに催促されて次のスポットへ。
今度は遠距離からイグアスの滝を眺められるところへ。

ここにも虹が! 今までこんなにたくさん虹を観たことがあっただろうか?
亜熱帯のジャングルと青空とイグアスの滝が織りなす景色はまるで美しい旋律を奏でるよう。自然の芸術に敵うものなし。

実は滝の水しぶきを浴びることができるスポットもちゃんと用意されている。
濡れるのを覚悟してきた観光客は大喜び。パワースポットの水を浴びたらお清めになるかもね。

でもここで水しぶきを浴びなくても、高温・高湿なうえにガイドにも過去最速ツアーと言われるほどの駈け足弾丸ツアーだったので、全身汗でずぶ濡れだった。

さあもう帰らねば。帰りのトロッコ電車内ではガイドからイグアスに関するさまざまな話を聴くことができた。イグアスの土壌、鳥、自然保護のことなど。記念にイグアスで取れる石をいただいた。透明なピンク色でイグアスの赤土が少しついている無垢な石。売っている土産よりも、こういうもののほうが思い出になるし、大切にとっておきたいと思うのは私だけではないだろう。

車でイグアス空港まで送ってもらい、ここでガイドとは別れた。彼女のお陰で無駄なくイグアスの滝を巡ることができた。どうもありがとう。
しかし、せっかくフライト時間に間に合うようにツアーしてもらったのに、またもや遅延!しかも4時間も遅れるという…南米侮りがたし。

エアコンが効きすぎた空港内では汗だくの身体が冷えてしまい居座ることができず、空港の外で日光浴しながら時間をつぶすことにした。
田舎ののんびりとした小さな空港。日本では聴くことができない南国のさまざまな鳥たちの鳴き声にじっと耳を傾ける。遠くからもすぐ近くからも鳥のさえずりしか聴こえない。目の前を黒い犬が自由に走り回っている。あまりにものどかで幸せで、夢か現かわからなくなってしまうほどだった。

またここに来たい。今度はのんびり2泊くらいしたい。
イグアスの滝のパワーを十二分なくらい浴びてみたい、きっといつか。


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