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「隠岐」でくつろぐ夏の休日

かつては「遠流の国」といわれ 波荒い日本海の孤島のイメージだった隠岐
ところが今や隠岐は癒し度100%のマリンリゾートだ
蒼い海に浮かぶ大小180もの島々が集まった「隠岐諸島」はスケールの大きな自然と豊富な魚介類で訪れる者を圧倒する
島根米子空港から飛行機でわずか30分、高速船なら島根半島から1時間で行ける
隠れた夏休みの穴場だ

赤い夕陽が先端にかかると灯りが点ったように見える高さ20メートルの奇岩「ローソク島」(島後・隠岐の島町) Photo=佐々木龍

独自の地質と伝統文化をもつ「島前と島後」

よく「隠岐の島」というが隠岐という名の島はない。隠岐は空港のある最大の島「島後(どうご)」と「島前(どうぜん)」といわれる西ノ島、中ノ島、知夫里島の3島を合わせた4つの島からなる群島だ。

放牧地のスカイラインを登りきった赤尾展望台から見下ろした絶景

隠岐はかつてユーラシア大陸の一部だったが、地殻変動、火山活動などで日本海ができて分離したといわれている。そのため島々には2億年以上も昔の貴重な地勢が残され、海岸線沿いには切りたった断崖絶壁や日本海の荒波に浸食されてできた奇岩、怪石がそびえ立っている。

えぐりとられた赤茶色の岩肌が青い海と絶妙のコントラストをみせる「赤壁」(島前・知夫里島)

島前では500~600万年前の火山活動でできた海食崖や海食洞が続く西ノ島の「国賀海岸」や知夫里島の巨大な「赤壁」。島後では噴出した火山岩石がその後波の浸食でできた奇岩「ローソク島」などが見どころとなっている。

ローソク島周辺には「鉄砲岩」(写真)や「馬背島」なども見所

同じ隠岐でありながら島後と島前は歴史や文化はどちらも個性的だ。島後では玉若酢命神社(たまわかすのみことじんじゃ)の馬入れ神事「御霊会風流(ごれいふりゅう)」や「牛突き(闘牛)」が行なわれ、島前の知夫里島では独自の畜産法に由来する「牛の海泳ぎ」という伝統行事がある。

毎年6月5日開催の「御霊会風流」では神馬が神社参道を駆け上る(島後)

とりわけ時間がゆったりと流れる西ノ島や知夫里島では牛や馬の伝統的な放牧が行なわれ、草原越しに夏の海を望む牧歌的な光景はだれもが癒される隠岐一番の観光名物になっている。

垂直に切り立った257メートルの「摩天崖」頂上一帯の草原には牛や馬が放牧されている(島前・西ノ島)

杉皮葺の屋根に石を置いた隠岐独特の風情「屋那の松原・舟小屋群」(島後)

昼は釣りを楽しみ、夜は漁師料理に舌つづみ

隠岐のレジャーといえばフィッシング。磯のほとんどが絶好のポイントで、ベテランの釣り師だけでなく、初心者の女性や子どもでも手軽に釣りが楽しめる場所も多い。

今回訪れた島後の「釣りイカダ」もそのひとつ。波の静かな入江に浮かべられたイカダに船で渡してもらう特等席だ。水深15mのイカダの下には漁礁用の岩が沈められていて、周辺に多くの魚が集まってくる。岸から釣るのとは格段に釣果が違う。取材の当日も簡単な仕掛けのレンタル竿で大型のアジやカワハギがおもしろいように釣れた。時期がよければ大物のタイが何匹も釣れるという。

夜のイカ釣りを体験してみるのもおもしろい。島の沿岸に出て船の灯りに集まるイカをルアーで釣り上げる。釣りたての新鮮なイカは船上で刺し身にして味わうこともできる。隠岐で釣れるのはおもに透明な白イカ。7月から秋にかけてが本番だ。

釣り体験が終わったら豊かな海で獲れた新鮮な魚介類もぜひ味わおう。旬の白イカはもちろん、大ぶりの岩ガキや天然のアワビ、サザエ、バイ貝などが島のどこでも食べられる。刺し身にしてよし、煮てもよし、焼いてもよしの海の幸だ。

焼きサバでダシを取る隠岐そばは家庭でも作るご当地名物。切れやすいのでかき込むように食べるのが隠岐流


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