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情熱のタンゴの国、アルゼンチン ブエノスアイレスのタンゲリーアとコロン劇場

初めての南米の旅、選んだ国はアルゼンチン。
私のいつもの旅のテーマは「大自然と音楽」。アルゼンチンはまさに両方を兼ね備えた国だ。
ドバイ経由のフライトで、何も知らされていなかったが、なぜかリオデジャネイロ(その名もアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港!)で一時着陸、約26時間かけてようやく首都・ブエノスアイレスに到着した。

まずは手始めにいかにも観光っぽく、世界三大オペラハウスのひとつ(ほかミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座)、コロン劇場の場内ガイドツアーに参加してみた。


ツアーチケットは当日でも購入可能で、ガイドは英語・スペイン語のどちらか。
劇場内のきらびやかな装飾、調度品、劇場の歴史などを解説してくれる。

開演していないので場内の照明は落としてあるが、本番はどれくらい輝かしい美しいステージになるのだろう。1990年代に大改装された現代風のロンドン・ロイヤルオペラハウスしかオペラハウスを観たことがなかったが、それに比べコロン劇場は1908年竣工とあって、重厚感が圧倒的に違う。

ツアー中、参加者全員が客席に着席し、ステージに向かってどれだけ声が届くか誰かチャレンジしてみないかとガイドが誘う。白人のお兄さんがチャレンジしてみたけれど、声量のある欧米人でさえたいして声は届かない。いかにオペラ歌手の声量がすごいか。これだけの広さの劇場に声を響かせるために、どれだけ肉体の鍛錬をするのだろう。


ツアーは20分程度で終了。今回はチケットが取れなかったので観劇はできなかったが、劇場だけでも観る価値があった。いつかこのコロン劇場でオペラを観てみたいものだ。

劇場つながりでひとつおまけ。
劇場をそのまま使ったEl Ateneo Granda Splendidという書店がある。
こんな素敵な書店で休日にのんびり立ち読みができたら幸せだろうな。


ステージはカフェになっているので、建築と天井の装飾画を眺めコーヒーを飲みながら、アルゼンチンの書店の雰囲気を味わうのもオツなものだ。

さて、アルゼンチン音楽といえば誰しもが「タンゴ」を思い浮かべるだろう。ご多分にもれず、タンゴショーを観るためタンゲリーア(プロのタンゴダンスと生演奏が観られる店のこと)を予め日本でチェックし、サイトからチケットを予約しておいた。「La Ventana」というタンゲリーアだ。ホテルから送迎車つきで、食事とタンゴショーが楽しめる、と書いてある。

しかしこのサイトには送迎車のシステムについてなにも書かれていない。私の宿泊先は安ホテルだったので本当に車が迎えにきてくれるのか? さらに何時にお迎えがくるのかも不明。チケット予約直後にメールで問い合わせてみたが、なんの返事もない。

現地ホテルに着いてからホテルスタッフにも聞いてみたが「たぶん○時ごろに車がくるんじゃない?」くらいの曖昧な返事。
ここはなんてったって「ラテン」の国。基本、信用しないほうがよいだろうという日本人的判断で、もしもの時に備え、予めそのタンゲリーアの場所を観光しながらチェックすることにした。

タンゲリーアは観光客が歩くようなエリアにはなかったものの、すんなり発見。猛暑だったため、そろそろタクシー拾ってホテルに一旦帰ろうかと思っていた矢先、背中になにか液体をかけられた!

そして近くにいた女性2人が親切に私の背中を拭き始めた。ティッシュにペットボトルの水を浸してご丁寧に。これが噂のケチャップ強盗(観光客にケチャップをかけて、親切に拭く振りをして荷物を強奪する手口)か? と、瞬時に防衛策。まず荷物はしっかり抱える、その2人の手つきを注意深くチェック!
がしかし、赤いはずのケチャップがなぜかグリーン、おまけに臭いがケチャップとは思えない。その2人も純粋に「あらあら、大変ね〜」と私のTシャツをずっと拭いてくれている。

すると通りがかりのオジさんが私に向かって大声で「ピジョン!!」と叫んだ。
そう、鳩の落とし物に大当たりしたのだった…

親切な2人の女性、疑ってごめんなさい。そして叫んでくれたオジさんありがとう。ますますこの国が好きになりました。

皮肉なことに2ヶ月後のクラシックギター発表会で自分が演奏する曲が「ラ・パロマ」(パロマ=鳩)で練習中だった。この曲を選んだのは予兆だったのか? まさかブエノスアイレスで当たるとは…。ケチャップ強盗に遭遇するよりレアな体験? ま、ウンが良かったということで!

閑話休題。
さて、ショー前日にメールをチェックしてみたら、「大丈夫、○時ごろにちゃんと迎えにいくから!」という簡単な返事が来ていた。
そう、車でのお迎えはワゴン車を巡回させて客をピックアップしていくシステムで、決して私だけを乗せてくれる優雅なものではなかった。納得。さすがにショーがあるので時間も大幅に遅れることなく迎えにきて、無事タンゲリーアに到着。

残念ながらショーの撮影は禁止なので、写真は開演前のもののみ。


ショーは観光客で満席。すでに開演前の高揚感で盛り上がっている。食事はテーブル単位でワインを頼む。しかも最低2人に1本、もし1人だけ違う色だったら、その人だけに1本出してくれる。結果、私の目の前に赤ワインが1本ドンと置かれた。こちらにはグラスワインという概念がないらしく、仕方ないのでできるだけ飲んだ(笑)。


ラテンの国とは思えないほど素早いウェイターの給仕であっという間に食事タイムは終了。いよいよ本番だ。

バンドネオン奏者が6人程度(しかもイケメンぞろい)でまずは音楽スタート。舞台はブエノスアイレスの街角をイメージしたセットになっている。そこに美男美女のダンサーが颯爽と登場し、情熱あるダンスを繰り広げる。途中、歌手も登場しタンゴソングなどを歌ったが、私の好みとしてはダンスとバンドネオンの組み合わせのほうがよかった。ダンサー女性の美しさ、特に引き締まった背中、ドレスのスリットから出る美脚、キュッと上がったお尻(つまりほぼ全身じゃないか!)に女性の私でもみとれてしまうのだから、男性必見! おっとまた脱線。
そして締めはやはりバンドネオンのアンサンブル。バンマスの情熱的な演奏に最後はブラボー!と大喝采。

完全に観光客向けのショーではあったけれど、演奏・ダンスは一流だった。ブエノスアイレスに行ったら是非タンゲリーアへ。
自分で予約する場合はいろいろお気をつけて!


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