冬のある日、長崎の軍艦島へ。
通称“軍艦島”は長崎市にある端島(はしま)という無人島で、かつて炭鉱の栄えた明治~昭和時代の痕跡を、現在に至るまで残しています。明治日本の産業革命遺産として2015年7月に世界遺産登録されたのは、記憶に新しいのではないでしょうか。
大して知識の無かった私ですが、廃墟マニアの友人に連れられて、あまり下調べすることもなく、何気ない気持ちで向かいました。
長崎市街の港から各社クルーズツアーが出ています。私は軍艦島コンシェルジュさん(http://www.gunkanjima-concierge.com/index.html)の上陸・周遊ツアーを利用しました。
船が出発して約40分。
のんびりクルージングを楽しんでいると、突然、なにやら異様なオーラを漂わせている島が・・・!!
なんだかそわそわします。
まずは、ガイドさんの解説を聞きながら島の周りをぐるーり。
釣りをしている方もあちこちにいらっしゃいました。
この辺り、魚がよく釣れるんだそうです。
マンションがかなり密集しています。日本最古の高層アパートが建てられたのが、実はこの島だそう。人口は、最盛期(1960年)にはなんと5267人!人口密度は東京特別区の約9倍で、その値は世界一だったとか。すごいですよね!
しかも、学校や幼稚園、病院、警察、郵便局、神社、スーパーマーケット、理美容院、テニスコート、映画館、パチンコ店まで、本当に何でも揃っていて、1つの都市を幅160m長さ480mという小さな島にぎゅっと詰め込んだ状態、と言えるかもしれません。
学校とグラウンドです。
この辺りは病院です。
また、日本のテレビ普及率が7.8%という時代に、この島では全家庭にテレビが普及していたとのこと。炭鉱のおかげで、かなり潤った暮らしをしていたみたいですね。
途中、島全体の撮影に適しているという地点にまで船を走らせてくれました。
当時建造中だった日本海軍の戦艦「土佐」に似ていることから、“軍艦島”の愛称がつきました。さぁ、そろそろ上陸です!
立ち入れる場所は制限されていますが、実際に炭鉱の作業をしていた辺りを目の前に見ることができます。3か所の見学地点があり、その都度ガイドさんが色々と説明して下さいました。
レンガ造りの建物は、総合事務所です。
第二竪坑坑口桟橋跡。炭鉱への入り口となる竪坑へ行くために設けられた、桟橋への階段です。
鍛冶工場です。
こちらは、30号棟アパート。なんと大正5年に建てられた、日本最古の鉄筋コンクリート造アパートです。
上陸後、約1時間の滞在でした。
活気のある豊かな暮らしは、この炭鉱で働く方たちのおかげ。
炭鉱の仕事はとてもお給料が高かったそうですが、危険と常に隣り合わせで、事故で亡くなる方も沢山いたそう。病気や過労などによる死も少なくなかったようです。
明るさと暗さの両面を持った、色々な意味でエネルギーが密集していた島。そんな風に感じられました。
実際に行って、肌でその独特の空気を味わっていただくのがおすすめです。
台風も多い地域なので、崩壊がどんどん進んでいるそうですよ。お早めに!
2015年7月、世界遺産への登録に伴い、軍艦島デジタルミュージアム(http://gdm.nagasaki.jp/)もオープンしました。当時の様子をさらに知ることができるので、そちらにもぜひ足を運んでみて下さい。