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雄大な風景を求めてー気ままな札幌一人旅・モエレ沼公園

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音楽を生で聴くこと、絵やアートを直に見ることが好きだ。WEB閲覧の便利さは享受しているが、興味のあるものは自分の眼で直接観て、感じたい。今回の旅は某ミュージシャンのライブを見ることが第一目的だったけれど、それに併せて以前から行ってみたかったモエレ沼公園を訪れるため、札幌へ一人旅に向かった。

広大な風景に佇むガラスの建物や遊具が自然と融合する、モエレ沼公園
イサム・ノグチをご存知の方は多いと思う。おおらかで有機的な彫刻作品を数多く残しているほかに、和紙で出来た照明「AKARI」(あかり)や、テーブルのデザインも手がけるなど、多彩に活躍された人だ。そのイサム・ノグチがデザインしたのが、札幌市内にあるモエレ沼公園である。入場は無料。

あいにく行ったのが6月中旬であったため、天気予報は雨で朝から曇り空だ。この公園は、札幌中心分から離れているため、行くまでに時間がかかる。そして、敷地が広大で全部を見て回るには時間がかかる可能性が高いので、時間にゆとりを持って過ごしたほうがよい。札幌駅から地下鉄に乗り、バスで移動すると、小1時間程度はかかった。
着いてまず、予想を超えた広さに圧倒されてしまった。駐車場が、高速パーキングエリアの2倍はある。雨が降り始めるまでに園内を1周しておきたかったので、レンタサイクルを借りることにした。溌剌としたおば様に説明を受けたのだが、
「外で食事するとカラスに襲われるよ」と言われたり、貰ったマップの裏には「スズメバチに刺された場合の毒の抜き方」の説明があったりと、中々ワイルドな感じである。
そして「今日時間があるなら、海の噴水のイベントは見るといいわよ。今からなら、13時15分からね」と言われた。おば様いわく、中々の迫力で見応えもあるとのことで、それまでに自転車で周遊することにした。

小さ目のママチャリのような自転車をこぎながら、まず目に入ってきたのはモエレ山。
登ると、札幌市内が見渡せるようだ。今回は登っていない。

次に見えてくるのが、テトラマウンドという彫刻。

公式サイトには、光が当たると多彩に表情が変化するとあるが、曇り空ではそれは望めなかった。写真では伝わりづらいかもしれないが、かなり大きい彫刻。芝生の上にのぼると、また違う景色が楽しめるらしいが、自転車をこいでいたので、登らず。外で見る大きな彫刻が自然の風景と馴染んでいる。晴れた日に、また違う様子を楽しみたい。

そして、ガラスのピラミッド“HIDAMARI”という建物が見えてきた。公園内の中心的な建物で、中には休憩スペース、カフェ等もある。

角度によって、印象が少し変わっていく。

既にお気づきの方がいるかもしれないが、この公園は三角をモチーフにしたものが多く、広大な敷地内にポツポツと佇んでいて、針葉樹が生い茂る公園の景観とうまく馴染んでいる。ガラスのピラミッドに関しては、三角面と四角推、立方体を組み合わせた複雑なデザイン。モダンながらどこか暖かみを感じるのは、イサム・ノグチの彫刻に通じるものがある。自転車を停めて中に入り、エスカレーターで屋上に上ってみる。

屋上から眺める風景は、地方都市特有の印象。ここの3階にイサム・ノグチギャラリーがあり(撮影禁止のため写真なし)「AKARI」やテーブル、関連書籍等が置いてある。本人に興味のある方は、訪れた際チェックしてほしい。

噴水ショーまで時間があったので、再び自転車に乗ってサクラの森へ。ここには、イサム・ノグチがデザインした遊具があちこちに置いてある。サクラの木が2300本植樹されているらしく、春の花見シーズンはまた違った風景が観れるだろう。

他にもたくさん遊具が置いてあるのだが、どれもデザインが秀逸。こんなものが近所の公園にあったら、子供なら嬉しいだろう。遊具をくぐり抜けたり、滑り降りたりしたら、さぞかし楽しいに違いない。さすがに遊ぶのは自重してやめておいた。

そろそろ海の噴水でショーが始まりそうなので、ガラスのピラミッドまで戻ると、
小雨が降ってきた。レインポンチョを羽織って針葉樹に囲まれた噴水に向かう。
約40分あるロングバージョン。40分、長くないか?と見る前は思っていたけれど、それは杞憂だった。

私以外は近所の人らしきおじ様が1名。ショー以外では水は張られていない。噴水の
直径は48mと大きめ。

「ビッグワン」という大きな水の打ち上げからスタート。水の音が鳴り響き、迫力に圧倒される。段々と勢いが減り、今度は底から水が溢れる「ビッグワン」に。

中心の水しぶきの勢いがおさまると、周囲の水が勢いをあげて「フォッグ」になっていく。

段々と水面の勢いがなくなり、水もいったん引いていく。これで終わり、ではなく、最後にもう一度水の音が激しく鳴り始め、フィニッシュの「アーチ噴射」で完了。

公式サイトによると、生命の誕生、宇宙を表現する「水の彫刻」にふさわしいとある。
観衆が自分を入れて10人にも満たなかったせいもあるが、集中して水の様子を眺めていると、ただ綺麗なだけではなくて、水音や嵐のような動きは少し怖くもあった。それでも魅入ってしまったのは、何か恐れ多いものを見ているような気持ちに陥ったからだろうか。観終わった後は、静かな余韻が残った。

今回は天候が悪いのがかなり残念ではあったけれど、また四季折々で訪れたい場所だ。
植樹された多くの木々と広い敷地内に点在するイサム・ノグチのデザインされたものがごく自然に融合して、訪れた人を頼ませてくれる場所。札幌に行く際、時間に余裕のある方には是非おすすめする。


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