心が結びついて、まるくなる

石垣16

アーサー汁定食。アーサー(あおさ)は1月から4月にかけて島で採れる。素朴な味わいが、疲れた胃袋に染み渡る。伝統的で、素朴な石垣料理。地元っ子から愛されているのがわかる。

石垣島で食べたいものは、石垣牛に八重山そば、さまざまな野菜のチャンプルーなど、選択肢は多くなかなか楽しい。もしも冬に訪れたのであればおすすめは「アーサー汁」だ。アーサー(あおさ)は、冬が旬。石垣で冬に採れるアーサーは、特に繊細でおいしいと評判なのだ。

食堂で、東京ではなかなか見ない光景に出会った。

赤ちゃん連れの旅行者がゆっくりと食事ができるように、店の人が子供を抱いてやっている。
なるほど、これが「ゆいまーる」なのか。

石垣だけではなく、沖縄全体にある考え方である「ゆいまーる」は、「結ぶ」「まるくなる」というところから派生した「助け合い」の精神である。この島に何度か足を運ぶようになれば、自然と身についてしまうという。

石垣17

石垣では親しみをこめて泡盛を島酒、「しま」と呼ぶ。石垣で作られているのは「八重泉」「おもと」など。

この旅にあたって、穴場スポットを教えてくれたのは、3年前に、神奈川県川崎市から石垣島へ移住したという男性。「島」を酌み交わしながら、色々な話を聞かせてくれた。

「有り体に言えば、都会が煩わしくなって飛び出してきたんです。あの頃は仕事上のストレスを抱えたりして、身体的にも、精神的にも参っていた。環境も含めて自分のことを見つめなおしてみたくなって。それまでにダイビングで何度か訪れて気に入っていた石垣島に、生活の場を移しました」

今までのかかわりや、持ち物などはほとんど処分して、石垣島に移り住んだ。
「もちろん、そんなに簡単なことじゃなくて、しばらくはかなり苦労しましたよ。でも、あの時の決心のおかげでいまの幸せを手に入れたと思っています。」

島の生活になかなかなじめなかったとき、彼を救ってくれたのは「ゆいま~る」だった。疲れて歩いていると、声をかけてくれて、わざわざ車を家に取りに行って送ってくれる人がいた。何かと気遣って、生活用品などをわけてくれる人もいた。

はじめは、移住者同士どこかで出会っても、親しくすることをはばかっていたが、それも今思えばないところに壁をつくりたがる、都会の考えだった。気が合って、話が弾むなら、それでいいのだ。

石垣18

スコールの後、大きな美しい虹にのアーチに出会う。思わず「ゆいまーる」とつぶやく。

この島に来て変わるのは、おそらく「境」の概念。

となりの国との境界にあって、その分かれ目は見えず、
空と海とは溶け合って、海と浜との区別もなく、
色の概念さえあいまいになるような蒼(あお)と碧(みどり)のなかで。

国や文化の間に線をひくことの無意味さに気がつく…
いや、そんな大げさなことではなくとも。
自分が囲ってきた心の一部を解放して、悩みから解き放たれる。
それは、なににも替え難い、愉快な経験ではないだろうか。

心が結びついて、まるくなる

石垣16

アーサー汁定食。アーサー(あおさ)は1月から4月にかけて島で採れる。素朴な味わいが、疲れた胃袋に染み渡る。伝統的で、素朴な石垣料理。地元っ子から愛されているのがわかる。

石垣島で食べたいものは、石垣牛に八重山そば、さまざまな野菜のチャンプルーなど、選択肢は多くなかなか楽しい。もしも冬に訪れたのであればおすすめは「アーサー汁」だ。アーサー(あおさ)は、冬が旬。石垣で冬に採れるアーサーは、特に繊細でおいしいと評判なのだ。

食堂で、東京ではなかなか見ない光景に出会った。

赤ちゃん連れの旅行者がゆっくりと食事ができるように、店の人が子供を抱いてやっている。
なるほど、これが「ゆいまーる」なのか。

石垣だけではなく、沖縄全体にある考え方である「ゆいまーる」は、「結ぶ」「まるくなる」というところから派生した「助け合い」の精神である。この島に何度か足を運ぶようになれば、自然と身についてしまうという。

石垣17

石垣では親しみをこめて泡盛を島酒、「しま」と呼ぶ。石垣で作られているのは「八重泉」「おもと」など。

この旅にあたって、穴場スポットを教えてくれたのは、3年前に、神奈川県川崎市から石垣島へ移住したという男性。「島」を酌み交わしながら、色々な話を聞かせてくれた。

「有り体に言えば、都会が煩わしくなって飛び出してきたんです。あの頃は仕事上のストレスを抱えたりして、身体的にも、精神的にも参っていた。環境も含めて自分のことを見つめなおしてみたくなって。それまでにダイビングで何度か訪れて気に入っていた石垣島に、生活の場を移しました」

今までのかかわりや、持ち物などはほとんど処分して、石垣島に移り住んだ。
「もちろん、そんなに簡単なことじゃなくて、しばらくはかなり苦労しましたよ。でも、あの時の決心のおかげでいまの幸せを手に入れたと思っています。」

島の生活になかなかなじめなかったとき、彼を救ってくれたのは「ゆいま~る」だった。疲れて歩いていると、声をかけてくれて、わざわざ車を家に取りに行って送ってくれる人がいた。何かと気遣って、生活用品などをわけてくれる人もいた。

はじめは、移住者同士どこかで出会っても、親しくすることをはばかっていたが、それも今思えばないところに壁をつくりたがる、都会の考えだった。気が合って、話が弾むなら、それでいいのだ。

石垣18

スコールの後、大きな美しい虹にのアーチに出会う。思わず「ゆいまーる」とつぶやく。

この島に来て変わるのは、おそらく「境」の概念。

となりの国との境界にあって、その分かれ目は見えず、
空と海とは溶け合って、海と浜との区別もなく、
色の概念さえあいまいになるような蒼(あお)と碧(みどり)のなかで。

国や文化の間に線をひくことの無意味さに気がつく…
いや、そんな大げさなことではなくとも。
自分が囲ってきた心の一部を解放して、悩みから解き放たれる。
それは、なににも替え難い、愉快な経験ではないだろうか。