フォー

街の全体の雰囲気を掴んだところで、重要ミッションの「食」である。街を散策しながらフォーや生春巻きと言った定番フードに舌鼓を打ったのはいうまでもないが、安宿の主に「夕食には何が良いか?」と聞くと、「やはりブンチャーでしょう」と言う。ブンチャー?それは「ブンという細い米麺を、炭火で焼かれた豚つくね・バラ肉と青パパイヤ入りの甘酸っぱいつけダレ(ヌクチャム)につけて、野菜と一緒に食べるハノイのローカルフード」だという。ベトナムスタイルの肉野菜つけ麺か?

ブンチャー

近所に旨い専門店があるというので、足を運ぶ。簡易食堂の体の店内に座ると、メニューは無く、女性スタッフが人数分のブンチャーを寡黙に運んでくる。麺、肉入りつけダレ、生野菜、そして揚げ春巻きが、所狭しとテーブルに並ぶ。隣のローカル客を真似て食べてみると、つけダレは炭焼きの肉が大量に入っているにも関わらず、なんともさっぱりしている。麺も素麺のような歯ざわりで、これは和食か、と思うほどだ。肉の香ばしさとの組み合わせで野菜も進み、バランスが良い。そして箸が止まらない。んー、ハマる旨さである。

これがフルセットで1人9万ドン(約450円、揚げ春巻きなしだと約300円)程度だからたまらない(そう、私はコストコンシャスな旅人である)。こんな旨いものがこの世にあったのか・・・、と感激していると、このブンチャー、「世界中が大絶賛」しているという。調べてみると確かにナショナルジオグラフィック誌が2014年、「世界のストリートフード10選」の一つに選び、多くの賛同を得ている。知らなかった・・・・。極めて重要な世界の真実にたどり着いた喜びに浸り、その事実に半ば呆然と、そして後ろ髪を惹かれながら帰路に付く。ああ、きっとまた来るだろう、ハノイ。食べ物の力は偉大で、それは今も昔も旅の原動力でもあるのだ。

ハノイ3

 

翌日、テレビで国際ニュースを見ていると、米オバマ大統領が伊勢志摩サミットと広島を訪れる前にベトナム・ハノイを訪問する様子が映しだされ、「大統領がローカルレストランで6ドルディナーを楽しんだ」と報じているではないか。映像を見ると、それは間違いなくあのブンチャーである。ローカルビールを飲んで6ドル(約650円)ということだろう。ううむ、自分が感激したあの料理。そのクオリティーはホワイトハウスが認めるレベルにあるこということか。それはそれで嬉しいが、世界中がその存在をさらに知ることにもなった。ああ、どんなにメジャーになってもブンチャーにはこの先いつまでも、「ハノイのローカルフード」としての素朴な味わい(と値段設定)を失ってほしくない、などと願うのは、通りすがりの旅人のわがままだろう。

フォー

街の全体の雰囲気を掴んだところで、重要ミッションの「食」である。街を散策しながらフォーや生春巻きと言った定番フードに舌鼓を打ったのはいうまでもないが、安宿の主に「夕食には何が良いか?」と聞くと、「やはりブンチャーでしょう」と言う。ブンチャー?それは「ブンという細い米麺を、炭火で焼かれた豚つくね・バラ肉と青パパイヤ入りの甘酸っぱいつけダレ(ヌクチャム)につけて、野菜と一緒に食べるハノイのローカルフード」だという。ベトナムスタイルの肉野菜つけ麺か?

ブンチャー

近所に旨い専門店があるというので、足を運ぶ。簡易食堂の体の店内に座ると、メニューは無く、女性スタッフが人数分のブンチャーを寡黙に運んでくる。麺、肉入りつけダレ、生野菜、そして揚げ春巻きが、所狭しとテーブルに並ぶ。隣のローカル客を真似て食べてみると、つけダレは炭焼きの肉が大量に入っているにも関わらず、なんともさっぱりしている。麺も素麺のような歯ざわりで、これは和食か、と思うほどだ。肉の香ばしさとの組み合わせで野菜も進み、バランスが良い。そして箸が止まらない。んー、ハマる旨さである。

これがフルセットで1人9万ドン(約450円、揚げ春巻きなしだと約300円)程度だからたまらない(そう、私はコストコンシャスな旅人である)。こんな旨いものがこの世にあったのか・・・、と感激していると、このブンチャー、「世界中が大絶賛」しているという。調べてみると確かにナショナルジオグラフィック誌が2014年、「世界のストリートフード10選」の一つに選び、多くの賛同を得ている。知らなかった・・・・。極めて重要な世界の真実にたどり着いた喜びに浸り、その事実に半ば呆然と、そして後ろ髪を惹かれながら帰路に付く。ああ、きっとまた来るだろう、ハノイ。食べ物の力は偉大で、それは今も昔も旅の原動力でもあるのだ。

ハノイ3

 

翌日、テレビで国際ニュースを見ていると、米オバマ大統領が伊勢志摩サミットと広島を訪れる前にベトナム・ハノイを訪問する様子が映しだされ、「大統領がローカルレストランで6ドルディナーを楽しんだ」と報じているではないか。映像を見ると、それは間違いなくあのブンチャーである。ローカルビールを飲んで6ドル(約650円)ということだろう。ううむ、自分が感激したあの料理。そのクオリティーはホワイトハウスが認めるレベルにあるこということか。それはそれで嬉しいが、世界中がその存在をさらに知ることにもなった。ああ、どんなにメジャーになってもブンチャーにはこの先いつまでも、「ハノイのローカルフード」としての素朴な味わい(と値段設定)を失ってほしくない、などと願うのは、通りすがりの旅人のわがままだろう。