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ニャンウー空港は広大なバガンの遺跡群などの観光地への玄関口だ。出発と到着のロビーはが同じフロアの1つの空間で、観光地らしく、絵葉書や切手などを得るカウンターなどもある。ここで外国人旅行者は例外なく広域バガンエリアの観光パスの購入を求められる。地域の寺院や遺跡に期限内に自由に入場できるパスだが、実際には各施設への入場時に確認されることはほぼない。寄付金・お布施のような位置づけだろうか。しかしミャンマー人は購入する必要はない。外国人だけに入場料などの支払いを求めるしくみは、ミャンマー全土の寺院の参拝などでも一般的だ。国の歴史や文化に由来する理由はあるのだろうが、国際的な観光産業の基準に照らし合わせると、今後長くは続かないのではないだろうか。

翌朝、ニャンウー空港からミャンマー第2の都市・マンダレーの空港に向かう。フライトは昨日降機した便の続きのセクターである。エアKBZのこの便は、ヤンゴン→ニャンウー→マンダレー→ヤンゴンを周回ルートで運航している。まさに開放された航空市場で、外国人旅行者らに最も需要のあるルートを効率良く飛んでいるのだ。

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マンダレー空港に到着する。ターミナルはかなり大きく、比較的新しいデザインであるものの随所に激しい傷みが見受けられ、なによりも全体的に閑散としている。需要と共有のバランスが極めて悪い印象だ。市中までの約1時間の乗り合いタクシーが1人米12ドルというのも、当地の物価に照らすととんでもなく高い。なぜにこれほど空港が遠いのか?市内中心部に近かった旧空港が環境・騒音問題などを理由に1999年に閉鎖、同時に市内から約40キロ離れた土地にこの新空港が開港した。大空港建設はマンダレーの観光開発のためとの名目だが、遠い未来を見据えた壮大な計画なのか、なにかの計算を間違えた結果なのかは分からない。市内と空港と結ぶ高速道路も異様なほど立派に整備されている。ちなみに同空港施設の今後30年にわたる維持管理業務は、2013年、日本の共同企業体が優先交渉権を獲得している。ミャンマーの観光開発の中で、日本の空港管理運営のノウハウが長期にわたって活かされることになるかもしれない。

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ミャンマーの古都・マンダレーは不思議な都会である。ヤンゴンとは異なる文化を持つ民族が暮らし、中国国境が近いことからか街には漢字が溢れ、文化も多様性を持っているように見受けられる。しかし、中国の影響は地理的なものだけはないそうだ。ミャンマーの民主化に伴って世界中が最大都市ヤンゴンへの進出に目の色を変えているが、中国はその地理的なメリットを生かして何十年も前から戦略的にマンダレーに経済進出しているのだという。経済的な結びつきと存在感を確固なものにして、新しい国際市場で独占的に影響力を持とうとしているとも言われている。ただ国境では入国や物資の搬送に賄賂がはびこり、偽のミャンマーIDが売買されているというダークな事実も伝えられる。マンダレー市内の国営観光案内所のスタッフに「ここは中国の影響が大きいね」と水を向けると、無言で「しょうがない」という表情をする。デリケートな政治の問題が絡むが、経済への影響は大きく、現状ではどうすることもできない、ということか。

それでもマンダレーの街と人は活気に溢れ、同時にどことなく穏やかな古都の風情も楽しめる魅力的な土地だ。食文化は極めて豊かで、人々は穏やかでフレンドリー。多くの人々は日本人に興味津々だ。ミャンマーを訪れるなら、ヤンゴンに続いてマンダレーの街歩きがお薦めだ。

帰路はマンダレー空港からバンコク・ドンムアン空港に直接向かうタイ・エアアジアに搭乗する。同社は近隣の発展国の大手LCCとしてミャンマーの航空市場の開放に敏感に反応しており、すでにヤンゴンとマンダレーに毎日計4便を運航するだけでなく、搭乗者向けにマンダレー市内と空港間に無料バスを運行する気合の入れようだ。

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フライトは13時台の出発であるにも関わらず無料バスは9時に市内を出発する。空港に着くがエアラインスタッフもいないどころか、保安検査場もまだ開いていない。旅客は出発ロビーに放置である。空港案内所にも誰もいない。ターミナルの周囲はジャングルで店舗なども一切ない。搭乗手続きが始まるまでの数時間、旅客は建設途中かと思うような閑散としたロビーのベンチに座っているしかないのだ。ただこのような「辺境」とも言える空港で、見知らぬ者同士の旅客は互いに多くを語らずとも、まるで小さなボートで運命を共にする漂流者のように親近感を覚えてくるから、それはそれでレアな旅体験ではある。無料バスの提供は、旅客のコストセーブだけでなくレイトチェックインや乗り遅れを発生させないためのサービスであるそうだが、今後、顧客満足度をより高めるための工夫が必要だ。

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今回のミャンマー再訪ではまだまだ開発途上の多くの観光リソースを目の当たりにした。変化が猛スピードで進んでいる部分と、そうでない部分の差がとても大きい印象だ。そして日本からの旅行者が気軽に観光で足を運ぶようになるまでには、やらなければならない仕事は多いだろう。しかし新たな航空市場・旅行市場のポテンシャルは極めて高いように思える。そう思う理由の1つはあのダメダメだった国内線のフライトの質の劇的とまで言える進化だ。なかでも地上職員や客室乗務員のフレンドリーで的確なサービス、そして前向きな姿勢が最も印象に残った。未来に期待を込めるフレンドリーな人々の笑顔が、この国が持つ最高の観光リソースの1つなのではないか、などと考えるのは少しミャンマーとミャンマー人に贔屓目にすぎるだろうか。

(筆者注: 本記事の内容は2014年1月の取材に基づいて書かれたものです。)

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ニャンウー空港は広大なバガンの遺跡群などの観光地への玄関口だ。出発と到着のロビーはが同じフロアの1つの空間で、観光地らしく、絵葉書や切手などを得るカウンターなどもある。ここで外国人旅行者は例外なく広域バガンエリアの観光パスの購入を求められる。地域の寺院や遺跡に期限内に自由に入場できるパスだが、実際には各施設への入場時に確認されることはほぼない。寄付金・お布施のような位置づけだろうか。しかしミャンマー人は購入する必要はない。外国人だけに入場料などの支払いを求めるしくみは、ミャンマー全土の寺院の参拝などでも一般的だ。国の歴史や文化に由来する理由はあるのだろうが、国際的な観光産業の基準に照らし合わせると、今後長くは続かないのではないだろうか。

翌朝、ニャンウー空港からミャンマー第2の都市・マンダレーの空港に向かう。フライトは昨日降機した便の続きのセクターである。エアKBZのこの便は、ヤンゴン→ニャンウー→マンダレー→ヤンゴンを周回ルートで運航している。まさに開放された航空市場で、外国人旅行者らに最も需要のあるルートを効率良く飛んでいるのだ。

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マンダレー空港に到着する。ターミナルはかなり大きく、比較的新しいデザインであるものの随所に激しい傷みが見受けられ、なによりも全体的に閑散としている。需要と共有のバランスが極めて悪い印象だ。市中までの約1時間の乗り合いタクシーが1人米12ドルというのも、当地の物価に照らすととんでもなく高い。なぜにこれほど空港が遠いのか?市内中心部に近かった旧空港が環境・騒音問題などを理由に1999年に閉鎖、同時に市内から約40キロ離れた土地にこの新空港が開港した。大空港建設はマンダレーの観光開発のためとの名目だが、遠い未来を見据えた壮大な計画なのか、なにかの計算を間違えた結果なのかは分からない。市内と空港と結ぶ高速道路も異様なほど立派に整備されている。ちなみに同空港施設の今後30年にわたる維持管理業務は、2013年、日本の共同企業体が優先交渉権を獲得している。ミャンマーの観光開発の中で、日本の空港管理運営のノウハウが長期にわたって活かされることになるかもしれない。

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ミャンマーの古都・マンダレーは不思議な都会である。ヤンゴンとは異なる文化を持つ民族が暮らし、中国国境が近いことからか街には漢字が溢れ、文化も多様性を持っているように見受けられる。しかし、中国の影響は地理的なものだけはないそうだ。ミャンマーの民主化に伴って世界中が最大都市ヤンゴンへの進出に目の色を変えているが、中国はその地理的なメリットを生かして何十年も前から戦略的にマンダレーに経済進出しているのだという。経済的な結びつきと存在感を確固なものにして、新しい国際市場で独占的に影響力を持とうとしているとも言われている。ただ国境では入国や物資の搬送に賄賂がはびこり、偽のミャンマーIDが売買されているというダークな事実も伝えられる。マンダレー市内の国営観光案内所のスタッフに「ここは中国の影響が大きいね」と水を向けると、無言で「しょうがない」という表情をする。デリケートな政治の問題が絡むが、経済への影響は大きく、現状ではどうすることもできない、ということか。

それでもマンダレーの街と人は活気に溢れ、同時にどことなく穏やかな古都の風情も楽しめる魅力的な土地だ。食文化は極めて豊かで、人々は穏やかでフレンドリー。多くの人々は日本人に興味津々だ。ミャンマーを訪れるなら、ヤンゴンに続いてマンダレーの街歩きがお薦めだ。

帰路はマンダレー空港からバンコク・ドンムアン空港に直接向かうタイ・エアアジアに搭乗する。同社は近隣の発展国の大手LCCとしてミャンマーの航空市場の開放に敏感に反応しており、すでにヤンゴンとマンダレーに毎日計4便を運航するだけでなく、搭乗者向けにマンダレー市内と空港間に無料バスを運行する気合の入れようだ。

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フライトは13時台の出発であるにも関わらず無料バスは9時に市内を出発する。空港に着くがエアラインスタッフもいないどころか、保安検査場もまだ開いていない。旅客は出発ロビーに放置である。空港案内所にも誰もいない。ターミナルの周囲はジャングルで店舗なども一切ない。搭乗手続きが始まるまでの数時間、旅客は建設途中かと思うような閑散としたロビーのベンチに座っているしかないのだ。ただこのような「辺境」とも言える空港で、見知らぬ者同士の旅客は互いに多くを語らずとも、まるで小さなボートで運命を共にする漂流者のように親近感を覚えてくるから、それはそれでレアな旅体験ではある。無料バスの提供は、旅客のコストセーブだけでなくレイトチェックインや乗り遅れを発生させないためのサービスであるそうだが、今後、顧客満足度をより高めるための工夫が必要だ。

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今回のミャンマー再訪ではまだまだ開発途上の多くの観光リソースを目の当たりにした。変化が猛スピードで進んでいる部分と、そうでない部分の差がとても大きい印象だ。そして日本からの旅行者が気軽に観光で足を運ぶようになるまでには、やらなければならない仕事は多いだろう。しかし新たな航空市場・旅行市場のポテンシャルは極めて高いように思える。そう思う理由の1つはあのダメダメだった国内線のフライトの質の劇的とまで言える進化だ。なかでも地上職員や客室乗務員のフレンドリーで的確なサービス、そして前向きな姿勢が最も印象に残った。未来に期待を込めるフレンドリーな人々の笑顔が、この国が持つ最高の観光リソースの1つなのではないか、などと考えるのは少しミャンマーとミャンマー人に贔屓目にすぎるだろうか。

(筆者注: 本記事の内容は2014年1月の取材に基づいて書かれたものです。)