フライトモニターを眺めてみると、この空港がまさにバンコク・エアウェイズの私有で独壇場であることがよく分かる。1日の出発便ベースだと、バンコク・エアウェイズのフライトが約30便あり(機材はATRからA319など様々)、その内約20便がバンコク行きで、クアラルンプール・シンガポール・香港などへの国際線は10便以下だ。バンコク・エアウェイズ以外の航空会社のフライトは僅か数便。その中にはタイ国際航空のフライトもある。サムイ空港は1989年の開港以来、「自社空港」としてバンコク・エアウェイズのみが使用していたが、2008年になってようやく初の他社便としてタイ国際航空のバンコク便が就航したという。ここでは今も、国営航空会社と言えども影が薄く、かろうじて発着する機体のロゴでその存在を示す程度だ。

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就航フライトでもう一つ特徴的なのはコードシェア(共同運航)便の多さ。バンコク・エアウェイズのバンコク線には1便で同時に最高で8社とコードシェアをしているものまである。バンコク・スワンナブームに乗り入れる世界の航空会社が、バンコク〜サムイ間を自社乗継便として販売したくてたまらないのである。コードシェア・パートナーは15社以上あり、その内約8社がJALを含むワンワールド加盟航空会社である。もちろんそれに限定されるわけではないが、全体的になんとなくワンワールド寄りなのは、タイ国際航空がスターアライアンスのキャリアであることにも理由がありそうだ。群雄割拠の様相を呈するタイと世界の航空市場の熾烈な競争が、こんな熱帯の私有空港にまで影響を及ぼし、規模は違うもののスワンナブームとは逆転した力関係が見え隠れするのは興味深い。バンコク・エアウェイズが私有空港のメリットを最大限生かして、自社のビジネスに有利に就航路線とキャリアをコントロールしているのは、間違いない。まさに「スマート」である。

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このようにサムイ空港は私有と言えど、保安基準や設備、運用は世界基準であり当局の認可を得ていることは当然として、世界のどの空港とも違うテイストでひたすらゆるく快適、それでいてブランディングとビジネスを効率的に運用している。環境への配慮から同空港の1日のフライトが最大 36便に制限されているそうだが、その絶妙な規模感も周到に計算された結果のようにさえ思えてしまう。一方で旅客にとってのデメリットがないわけではない。分かりやすいものの一つが独占的な就航路線と便の高い運賃である。バンコクの2空港からサムイ空港までのバンコク・エアウェイズの片道運賃は5000バーツから7000バーツ台(日本円で1万6千円から2万5千円程度)。飛行距離がほぼ同じのスラタニ空港までならLCCの運賃が1500バーツ以下からあることを考えると、軽く3倍以上の設定なのである。LCCとフルサービス・キャリアの違いを差し引いても、このギャップは大きい。結果、バンコク・エアウェイズを利用してサムイ島を訪れる旅客は、比較的裕福な(あるいは旅行にお金をかける)層がメインとなる。ちなみにサムイ空港の空港使用料も300バーツと、スワンナブームの同様の空港使用税と比べてちょうど3倍になっている。サムイ空港路線の利用を「旅の選択肢の一つ」と割り切れないところが、特にバジェットトラベラーにとっての悩みどころだ。

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バンコク・エアウェイズによると、同社は今後もサムイ空港の運用拡張を計画。さらなる国際線の開設を進め、「タイ第2の国際ハブ空港」にすることを目指すという。自社空港を国内第2位の国際空港にするとは、事業計画としてはかなり壮大である。一見、自由でデザイン志向なだけのリゾート空港だが、よく見ると相当にユニークな存在のサムイ空港。利用者としては多くの面でこれまでになかった空港の雰囲気を体験できるし、自分や地域にとっての「良い空港」を考える際のヒントを得られるだろう。旅の刺激として訪れるのはオススメである。ちなみにバンコク・エアウェイズはサムイ空港のほかにも、タイ国内でスコタイ空港とトラット空港も「私有空港」として運用している。

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そんなことを考えつつも、バンコクへの帰路はLCCノックエアの「フライ&フェリー」を利用する。「サムイ発バンコク行き」として販売するこの「航空券」は、実際には、サムイ島から本土までの高速フェリーと、フェリー桟橋からスラタニ空港までの連絡バス、そしてスラタニ空港かバンコク・ドンムアン空港までのフライトのチケットを組み合わせたもの。あえて利用するのは往路直行便との比較をするため、と言えば聞こえはいいが、実は自分がコストコンシャスで時間だけはあり余る旅行者だからである。「フライ&フェリー」の運賃はバンコク・エアウェイズ直行便の3分の1以下だが、所要時間は3倍以上になる。その間の旅の出会いと楽しみや移動の疲労度も3倍になるかどうかは自分次第である。いずれにせよ旅行者にとっては、サムイ空港のような自由度の高いユニークな空港がそこにあること、そして往路・復路の大きなギャップを簡単に体験できてしまうことを、今の東南アジアのダイナミックな旅の魅力と捉えるのが賢明だろう。

フライトモニターを眺めてみると、この空港がまさにバンコク・エアウェイズの私有で独壇場であることがよく分かる。1日の出発便ベースだと、バンコク・エアウェイズのフライトが約30便あり(機材はATRからA319など様々)、その内約20便がバンコク行きで、クアラルンプール・シンガポール・香港などへの国際線は10便以下だ。バンコク・エアウェイズ以外の航空会社のフライトは僅か数便。その中にはタイ国際航空のフライトもある。サムイ空港は1989年の開港以来、「自社空港」としてバンコク・エアウェイズのみが使用していたが、2008年になってようやく初の他社便としてタイ国際航空のバンコク便が就航したという。ここでは今も、国営航空会社と言えども影が薄く、かろうじて発着する機体のロゴでその存在を示す程度だ。

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就航フライトでもう一つ特徴的なのはコードシェア(共同運航)便の多さ。バンコク・エアウェイズのバンコク線には1便で同時に最高で8社とコードシェアをしているものまである。バンコク・スワンナブームに乗り入れる世界の航空会社が、バンコク〜サムイ間を自社乗継便として販売したくてたまらないのである。コードシェア・パートナーは15社以上あり、その内約8社がJALを含むワンワールド加盟航空会社である。もちろんそれに限定されるわけではないが、全体的になんとなくワンワールド寄りなのは、タイ国際航空がスターアライアンスのキャリアであることにも理由がありそうだ。群雄割拠の様相を呈するタイと世界の航空市場の熾烈な競争が、こんな熱帯の私有空港にまで影響を及ぼし、規模は違うもののスワンナブームとは逆転した力関係が見え隠れするのは興味深い。バンコク・エアウェイズが私有空港のメリットを最大限生かして、自社のビジネスに有利に就航路線とキャリアをコントロールしているのは、間違いない。まさに「スマート」である。

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このようにサムイ空港は私有と言えど、保安基準や設備、運用は世界基準であり当局の認可を得ていることは当然として、世界のどの空港とも違うテイストでひたすらゆるく快適、それでいてブランディングとビジネスを効率的に運用している。環境への配慮から同空港の1日のフライトが最大 36便に制限されているそうだが、その絶妙な規模感も周到に計算された結果のようにさえ思えてしまう。一方で旅客にとってのデメリットがないわけではない。分かりやすいものの一つが独占的な就航路線と便の高い運賃である。バンコクの2空港からサムイ空港までのバンコク・エアウェイズの片道運賃は5000バーツから7000バーツ台(日本円で1万6千円から2万5千円程度)。飛行距離がほぼ同じのスラタニ空港までならLCCの運賃が1500バーツ以下からあることを考えると、軽く3倍以上の設定なのである。LCCとフルサービス・キャリアの違いを差し引いても、このギャップは大きい。結果、バンコク・エアウェイズを利用してサムイ島を訪れる旅客は、比較的裕福な(あるいは旅行にお金をかける)層がメインとなる。ちなみにサムイ空港の空港使用料も300バーツと、スワンナブームの同様の空港使用税と比べてちょうど3倍になっている。サムイ空港路線の利用を「旅の選択肢の一つ」と割り切れないところが、特にバジェットトラベラーにとっての悩みどころだ。

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バンコク・エアウェイズによると、同社は今後もサムイ空港の運用拡張を計画。さらなる国際線の開設を進め、「タイ第2の国際ハブ空港」にすることを目指すという。自社空港を国内第2位の国際空港にするとは、事業計画としてはかなり壮大である。一見、自由でデザイン志向なだけのリゾート空港だが、よく見ると相当にユニークな存在のサムイ空港。利用者としては多くの面でこれまでになかった空港の雰囲気を体験できるし、自分や地域にとっての「良い空港」を考える際のヒントを得られるだろう。旅の刺激として訪れるのはオススメである。ちなみにバンコク・エアウェイズはサムイ空港のほかにも、タイ国内でスコタイ空港とトラット空港も「私有空港」として運用している。

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そんなことを考えつつも、バンコクへの帰路はLCCノックエアの「フライ&フェリー」を利用する。「サムイ発バンコク行き」として販売するこの「航空券」は、実際には、サムイ島から本土までの高速フェリーと、フェリー桟橋からスラタニ空港までの連絡バス、そしてスラタニ空港かバンコク・ドンムアン空港までのフライトのチケットを組み合わせたもの。あえて利用するのは往路直行便との比較をするため、と言えば聞こえはいいが、実は自分がコストコンシャスで時間だけはあり余る旅行者だからである。「フライ&フェリー」の運賃はバンコク・エアウェイズ直行便の3分の1以下だが、所要時間は3倍以上になる。その間の旅の出会いと楽しみや移動の疲労度も3倍になるかどうかは自分次第である。いずれにせよ旅行者にとっては、サムイ空港のような自由度の高いユニークな空港がそこにあること、そして往路・復路の大きなギャップを簡単に体験できてしまうことを、今の東南アジアのダイナミックな旅の魅力と捉えるのが賢明だろう。