さてここからビエンチャンまで国境越えの「国際」バスチケットがない。どうしたものかと思いつつ手荷物受取ロビーに進むと、なんと「ノック」「ビエンチャン」の文字が書かれたスタンドがあり、その横にスタッフがぼんやり立っているではないか。「ビエンチャンに行く」と伝えると、「ついて来い」と言う。ほほー、ロゴが掲げられたノック・エア専用の大型バスが待っているのか、と思いきや、案内された先は空港発の乗り合いシャトルバンのカウンターである。スタッフはそこでチケットを受け取るとそれを私に手渡し、「これに乗れ」と一般の乗り合いバンまで案内する。行き先は書いてないが国境の町ノンカイ行きのバンなのだという。乗車前に「国境から先のバスのチケットとはどうするのだ」と聞くと、「自分で買え」と言う。「それは違うだろ」と食い下がると、「バスが待っている」と即答される。いったいどっちなんだヨ、と腹の中で突っ込んでみるものの埒が明かず、少々の不安と不満が渦巻くまま、そして答えがないまま、シャトルバンは国境の街に向けて出発する。
約40分のバス乗車でノンカイの国境施設に到着。タイ側のイミグレはテキパキとしっかりしたもので、その先のタイ・ラオス友好橋(フレンドシップブリッジ)を通過する専用バスの乗車には20バーツ(約75円)がかかるが、これは購入した「航空券」には含まれておらず別途自腹だと書いてあったので驚かない。雄大な朝のメコン川を渡ってラオス入国のイミグレ施設に到着する。周囲の空気がタイ側のそれに比べると急に庶民的に、そして埃っぽく感じられるから、陸路の旅もまた楽しい。日本のパスポート保持者は観光目的のラオス入国にビザが免除されているため、多くの国の人々が到着ビザを申請・受領しているのを横目に、なんなく入国する。入国を済ませた旅行者の中には日本人らしき人々の姿もちらほら見える。ここは、観光ビザでタイに長期滞在する人がビザ書き換えや滞在許可の更新に向けた出国・再入国のための、「ビザラン」と呼ばれる国境越えの代表的なルートなのだという。確かに、ラオス入国後の待合エリアでは「(在ビエンチャンの)タイ大使館に行くのか?」と声をかけてくるタクシードライバーが多い。
しかし私は大使館には行かない。それよりここで支払い済みのノック・エアのバスを探さなくてはならない。この辺りにノックの看板があったら大したものだ、しかしそんなものはきっとないだろうなぁ。さすがにここから先は自分で新たにチケットを買っても構わないか、と半ば諦めていると、エリアの隅の売店にラオス人には珍しいおしゃれな帽子をかぶった若者が立っており、脇に小さな看板を抱えている。そしてその看板にはノック・エアのロゴとビエンチャンの文字が書かれているではないか。「おお、お前はノック・エアのスタッフか」と聞くと、「そうだ、ノック・エアと契約しているバンの運転手だ」と言う。看板の裏に貼られた今日の「国際線」の乗客リストで私の名前をチェックして、その辺りで待っていろと言う。リストをちら見すると、今朝の「国際線旅客」は私の他に7,8人はいそうだ。
他の乗客をぼんやり待って1時間半が経過する。日本人以外は到着ビザの申請・受領で入国に時間がかかるのだ。しかしこれは最初から「国際線」の運航スケジュールとして旅程表に書かれていた時間どおりなので、文句は言えない。しかし待っている間にジャンボ(タイのトゥクトゥク)やタクシーがどんどん出発している。別途、格安のジャンボ運賃を払って移動したほうがよっぽど快適にそして素早くビエンチャン市内に到着できるようにも思える。そしてようやく「国際線旅客」が全員揃い、バンが出発する。
ビエンチャン市内までに30分余の間に考えた。結果的にすべてのスケジュールは「国際線」の旅程表通りに進んだ。フライトとバン・バスのオンタイムパフォーマンスだけではない。「(ウドンタニ)空港に行けば分かる」「到着空港で尋ねろ」「(友好橋横断の)チケットは買え」「(おしゃれ帽子のスタッフ)バスが待っている」と、ここまでで言われたことはすべて間違っていなかったのである。結果としてバスチケットがないぞ、案内がないぞ、騒いでいたのは杞憂に終わったのであった。しかし、である。いったい誰がこの「国際線」のチケットを買うのか。国内線のバンコク〜ウドンタニを買って、自力でバスを乗り継いで国境をわたり、ビエンチャンに向かった方が、はるかに安くて速い。陸路の国境通過の手続きも決して難しくない。そもそも国境通過はどこでも自力である。それを考えるとこのノック・エアの「国際線」チケットを買うのは、よほどの無知か、心配症か、物好きな旅行者だけではないのか、と思えてきた。そしてノック・エアがバンコク〜ビエンチャンを「国際線」して堂々販売することは、エアラインのマーケティングの許容範囲内なのか?単に国内線航空券とバス移動をセットにする売り方にしては、少々見せ方が荒っぽい気がしないではない。旅の世界はいつまでたっても知らないことだらけである。
さてここからビエンチャンまで国境越えの「国際」バスチケットがない。どうしたものかと思いつつ手荷物受取ロビーに進むと、なんと「ノック」「ビエンチャン」の文字が書かれたスタンドがあり、その横にスタッフがぼんやり立っているではないか。「ビエンチャンに行く」と伝えると、「ついて来い」と言う。ほほー、ロゴが掲げられたノック・エア専用の大型バスが待っているのか、と思いきや、案内された先は空港発の乗り合いシャトルバンのカウンターである。スタッフはそこでチケットを受け取るとそれを私に手渡し、「これに乗れ」と一般の乗り合いバンまで案内する。行き先は書いてないが国境の町ノンカイ行きのバンなのだという。乗車前に「国境から先のバスのチケットとはどうするのだ」と聞くと、「自分で買え」と言う。「それは違うだろ」と食い下がると、「バスが待っている」と即答される。いったいどっちなんだヨ、と腹の中で突っ込んでみるものの埒が明かず、少々の不安と不満が渦巻くまま、そして答えがないまま、シャトルバンは国境の街に向けて出発する。
約40分のバス乗車でノンカイの国境施設に到着。タイ側のイミグレはテキパキとしっかりしたもので、その先のタイ・ラオス友好橋(フレンドシップブリッジ)を通過する専用バスの乗車には20バーツ(約75円)がかかるが、これは購入した「航空券」には含まれておらず別途自腹だと書いてあったので驚かない。雄大な朝のメコン川を渡ってラオス入国のイミグレ施設に到着する。周囲の空気がタイ側のそれに比べると急に庶民的に、そして埃っぽく感じられるから、陸路の旅もまた楽しい。日本のパスポート保持者は観光目的のラオス入国にビザが免除されているため、多くの国の人々が到着ビザを申請・受領しているのを横目に、なんなく入国する。入国を済ませた旅行者の中には日本人らしき人々の姿もちらほら見える。ここは、観光ビザでタイに長期滞在する人がビザ書き換えや滞在許可の更新に向けた出国・再入国のための、「ビザラン」と呼ばれる国境越えの代表的なルートなのだという。確かに、ラオス入国後の待合エリアでは「(在ビエンチャンの)タイ大使館に行くのか?」と声をかけてくるタクシードライバーが多い。
しかし私は大使館には行かない。それよりここで支払い済みのノック・エアのバスを探さなくてはならない。この辺りにノックの看板があったら大したものだ、しかしそんなものはきっとないだろうなぁ。さすがにここから先は自分で新たにチケットを買っても構わないか、と半ば諦めていると、エリアの隅の売店にラオス人には珍しいおしゃれな帽子をかぶった若者が立っており、脇に小さな看板を抱えている。そしてその看板にはノック・エアのロゴとビエンチャンの文字が書かれているではないか。「おお、お前はノック・エアのスタッフか」と聞くと、「そうだ、ノック・エアと契約しているバンの運転手だ」と言う。看板の裏に貼られた今日の「国際線」の乗客リストで私の名前をチェックして、その辺りで待っていろと言う。リストをちら見すると、今朝の「国際線旅客」は私の他に7,8人はいそうだ。
他の乗客をぼんやり待って1時間半が経過する。日本人以外は到着ビザの申請・受領で入国に時間がかかるのだ。しかしこれは最初から「国際線」の運航スケジュールとして旅程表に書かれていた時間どおりなので、文句は言えない。しかし待っている間にジャンボ(タイのトゥクトゥク)やタクシーがどんどん出発している。別途、格安のジャンボ運賃を払って移動したほうがよっぽど快適にそして素早くビエンチャン市内に到着できるようにも思える。そしてようやく「国際線旅客」が全員揃い、バンが出発する。
ビエンチャン市内までに30分余の間に考えた。結果的にすべてのスケジュールは「国際線」の旅程表通りに進んだ。フライトとバン・バスのオンタイムパフォーマンスだけではない。「(ウドンタニ)空港に行けば分かる」「到着空港で尋ねろ」「(友好橋横断の)チケットは買え」「(おしゃれ帽子のスタッフ)バスが待っている」と、ここまでで言われたことはすべて間違っていなかったのである。結果としてバスチケットがないぞ、案内がないぞ、騒いでいたのは杞憂に終わったのであった。しかし、である。いったい誰がこの「国際線」のチケットを買うのか。国内線のバンコク〜ウドンタニを買って、自力でバスを乗り継いで国境をわたり、ビエンチャンに向かった方が、はるかに安くて速い。陸路の国境通過の手続きも決して難しくない。そもそも国境通過はどこでも自力である。それを考えるとこのノック・エアの「国際線」チケットを買うのは、よほどの無知か、心配症か、物好きな旅行者だけではないのか、と思えてきた。そしてノック・エアがバンコク〜ビエンチャンを「国際線」して堂々販売することは、エアラインのマーケティングの許容範囲内なのか?単に国内線航空券とバス移動をセットにする売り方にしては、少々見せ方が荒っぽい気がしないではない。旅の世界はいつまでたっても知らないことだらけである。